「いんでん」は、すべて職人による手作り。”漆付け三年”と言われるように、どの工程をとっても高度な熟練と研ぎ澄まされた勘を要します。脈々と受け継がれた伝統の技と心が、手から道具へ伝わり、そして製品の細部に反映されます。この品質に対するこだわりには、お届けする製品を末永く大切にお使い頂きたいという願いと、美の作り手という誇りが込められています。
白い鹿革を黒、紺、茶、エンジ、ワイン色に芯染め(ずぶ染め)します。一回のドラム染色で100枚単位を染めます。鹿革は一頭毎に性質が異なるため染色にも多少の差が生じますが、これはむしろ天然素材の持ち味と言えましょう。
一枚革を型紙に合わせて荒断ちします。鹿革特有の角ずれの大きい部分を避け、良い所だけを選んで裁断していきます。多少の角ずれは本物であることの証とされています。
鹿革の上に型紙(手彫りにされた和紙)を重ね、その上からヘラを横に刷り込むようにし、型紙から皮をはがすと、鹿革に抜き柄通りに美しい文様が浮かび上がります。これを数日かけてムロで換装させると、硬質な輝きの漆柄が仕上がります。
型紙に合わせて正確に裁断した後、一つ一つ丹念に縫製します。デザインに合わせて、直線や曲線を自在に塗っていきますが、印傳革には表面に漆柄凹凸があるので、ここにも熟練の技が必要とされます。次に、ハンマーで縫い目の折り返しを整えます。型崩れを防ぐため、当て革などを裏につけます。そして口金やファスナーをつけて仕上げます。
数多くの厳しいチェックを通過した物だけに、「印」マークのシールが貼られます。これは信頼のしるしで有り、老舗印傳屋の誇りと自信の証でもあります。
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